ひびのこづえ

ひびのこづえの小さな家

「ハンカチって力持ちなんですよー!」
と、コスチューム・アーティストの
ひびのこづえさんは言います。
たとえば、ハンカチが1枚あれば、
自転車のハンドルにぐるぐるっと結んで
重たい荷物を積むことだってできるし、
きちんと畳み直せばいつものように汗をふくことができる。
「もっと気軽にハンカチを使ってほしい」
そんな気持ちで、ひびのさんはハンカチを作っています。
毎日持ち歩きたくなるように、
さっとカバンに忍ばせたら、百人力になるように。

今回、『ひびのこづえのちいさな家』には、
ひびのさんがハンカチを作りはじめてからのほぼ全種類、
ドーンと20年分のハンカチがならびます。
ほかにも、ミニタオルやストール、アクセサリーなど
暮らしに寄り添ってくれる雑貨もそろう予定。
ちいさな家の中が、とてつもない数の
ひびのさんグッズでいっぱいになります。
ぜひ、宝探しをするような気持ちでお越しください。

ひびのこづえさんってどんな人?

ひびのこづえさんの本職はコスチューム・アーティスト。
演劇やダンス、バレエ、映画、テレビ、
アーティストのプロモーションビデオなどの
衣裳を手がけるデザイナーです。
野田秀樹さんの舞台衣装を
ながく務めていることでも有名で、
「ほぼ日のTOBICHI」でも
コスチューム展を開催したこともあります。

そんなひびのさんが、
どうしてハンカチを作りはじめたかというと、
知り合いの紹介がきっかけでした。
「ひびのさん、ハンカチをつくってみたら?」
そう言って、ハンカチ屋さんに
つないでくれたのだそうです。
ふだんは衣装などの「作品」を作っているひびのさん。
特に当時は“とがったもの”しか作っていなかったため、
「売るものができるのかな?」という不安を持ちながらも
ハンカチ作りをはじめることになります。
それがひびのさんの、初めての「商品」になりました。

そうして作りはじめて20年。
百何十種類ものハンカチが生み出されました。
そしてそのデザインは、年を追うごとに
どんどん自由なものになっています。
「ハンカチだけをちゃんとやろうとすると煮詰まるけれど、
コスチュームの仕事をやっては、
ハンカチに帰ってくる、
そのときにアイデアも行ったり来たりします」
とひびのさんは言います。

ひびのさんのハンカチ作り

ひびのさんのハンカチは、
細かいところまで丁寧に作られていることに驚きます。

たとえば、人気の動物ハンカチ。
刺繍の部分がぷっくりと立体的になっているのが
特徴ですが、
糸状の綿(繊維)を注射器で入れて作っています。
動物の形によっては一か所ではなく、
数か所から注入したりと、ひとつひとつが手作業です。

こういったハンカチのアイディアは、
ハンカチ工場の加工技術を聞いた上で
ひびのさんが着想する、というスタイルが多いといいます。
「こういう織りができますよ、とメーカーさんに聞くと
えぇっ、おもしろいね、って」
ひびのさんは、自分が飽きないように
いろいろな手法を試したり、メーカーさんにも
「こういうおもしろい加工があったら、見せてほしい」と
働きかけたりしながら、ハンカチ作りをしています。

▲へびがぷっくりふくらんでいます。職人さんの腕で、ぴしっと同じものが生まれてくるそう。

色数をとてもたくさん使ってたハンカチもあります。
最初にひびのさんの原画を見た工場の担当者は、
あまりの色数の多さに、
製品としてどう実現させたらいいか
困ってしまったそうです。
インクジェットプリンタなら
いちどに出力ができるのでしょうけれど、
このハンカチは、色版を重ねて刷っていく方式。
模様が重なっている部分は別版に‥‥など工夫をかさね、
このハンカチが完成しました。

▲これがその色数の多いハンカチです。採算が合うようにというところも、たいへんだったみたい。

小さな1枚の布の中に1つの世界を表現する──。
ハンカチは、ひびのさんがふだんの仕事をしながら
考えたことを落して込んでいく大切な場所になりました。
コスチュームを考えている時にハンカチが生まれたり、
別のイメージをハンカチ用にアレンジしてみたり。
「ほぼ日」で人気のハラマキのデザインからも、
たくさんのハンカチが生み出されています。

どんなお店?

「ひびのこづえのちいさな家」には、
ひびのさんがこれまで20年間につくった
たくさんのハンカチがならびます。
プリントと無地の布地を2枚組み合わせたハンカチ、
小さい頃に遊んだ“切り絵”をイメージしたデザイン、
二重にした布地の、上の生地のまるい穴から
下の生地が見えることでドット柄に仕立てたもの。
また、大きな花柄がパイルに編み込まれたミニタオルは、
もう片面がハンカチ生地になっています。

ひびのさんは、
“日常で使えるもの”を意識してハンカチを作ります。
手をふくだけじゃなく、
風呂敷のように使ったり、
くびまきにしてもいい。
折りたたんで一部が見えるようにして胸ポケットに入れ
ファッションに取り入れることもできます。
ハンカチとかタオルは季節が関係なし。
だからひびのさんは、いつも定番で、
身に付けたり、毎日使えるものをと考えて
デザインしています。

「どんどん使っていただけたらいいなって思います。
 色落ちしててもアイロンをかければきれいに見えるし。
 お気に入りでもしまいこまないで、使いましょうよ。
 最近、わたしもようやく気が付いたんですが、
『いつか』なんても思っていても、
 その『いつか』はなかなか来ないんですよね」

▲ハンカチのほかにもいろいろなアイテムがならびます。
こちらは組み立てると箱が家の形になるギフトボックス。
ハンカチを入れてプレゼントにもよさそうです。
ほかにもいろいろな種類のストール、
アクセサリー、靴下などもありますよ。