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まずはじめのふるい器

伊藤まさこ

スタイリストの伊藤まさこさんが
今回の「生活のたのしみ展」に出品するのは、
「ふるい器」です。

ヴィンテージ、
アンティーク、
骨董、古道具──、
いろいろな言いかたがありますけれど、
伊藤さんは、「いま」の作家がつくる手づくりの器も、
国内外のメーカーがつくる工業製品的な器も、
そして、「ふるい器」も、同じように、
日々の食卓で使っているのだそう。

「古いものって、
じつはどう使うか分からない人が多いんですよね。

まして市(いち)などに行くと
何を買っていいのか迷ってしまうという人も。

なのでふだんの暮らしに取り入れられそうな器や、
小道具などが並べられると楽しいなと思いました。

各地で、古い器を集めてこようと思います!」

各地をまわって、ふるい器をさがしてきます。

そうして、金沢や富山、飛騨高山など、
なじみの店や、信頼する友人たちがすすめる店を
みずから(なんと、ひとりで)まわり、
今回のために買い付けをすることに。

じつはこの原稿をまとめているいま、
伊藤さん、買い付けの旅の真っ最中。

ですから「こんなものが揃いますよ」
ということが、まだお伝えできないのですけれど、
テーマは「まずはじめのふるい器」です。

日本のもの、西洋のもの、中国やアジアのもの、
そのほかの国々のものが、
料理にしても、うつわにしても、道具にしても、
「混在している」わたしたちの食卓。

「ふるい器」は、あたまで考えたとき、
「それだけで構成したほうがいいのかな?」

と思いがちですけれど、伊藤さんいわく、
「ふるい器が、そこに混ざると、
じつはテーブルが『落ち着く』んですよ。
そういう使い方のヒントになったら、いいな」。

ふだんの食卓に混ぜて使えそうな器を、
たくさん集めてくることになっています。

さらに、私たちにとってもサプライズな提案が、
伊藤さんから。

「以前、旅先で買い求めてきた器も、
お店に並べようと思うんです」

仕事やプライベートで足を運んだ先で
伊藤さんが買い求め、
じっさいに家で使ってきた食器類、道具類。

「とてもたくさんあるので、
みなさんに使っていただけたら」

わあ、それはめったにない機会!
そのいくつかを紹介しますと‥‥。

「バルセロナの荒物屋、ヘルシンキのマーケット、
スウェーデン・ダーラナ地方のヴィンテージショップ‥‥。

私が今まで旅をしながら見つけ、
大切に持ち帰ったガラスのグラスいろいろです」

「台湾の、荒物屋と骨董屋が混ざったような
混沌とした店で見つけた器です。
左のものはじつは鍋の蓋なのですが、
小皿代わりにしてはどうかなと思います。

古い器がひとつあると、
テーブルの上の表情がいつもと少し変わるから不思議」

「なぜかバターナイフやナイフの類が好きで、
気になるものを見かけるとついつい買ってしまいます。

このナイフは、
ヘルシンキから車で一時間ほどの
刃物で有名な街・フィスカルスのマーケットで。
白いプレートと相性よし!」

「染付けのふたつきの器は、
大分を旅した時に見つけたもの。
小ぶりでかわいらしいので、
手持ちの器とも馴染みがいいかなと思います。

ふだんのおかずも、これにちんまり盛るだけで
どことなく品が増しますよ」

「金沢では漆器を。
無地のものに加えて、
さりげなく模様の描かれたお椀やお盆も」

わあ、すごい!
ほかにも、ニューヨークや北欧、
京都のマーケットで買ったガラス類もあるんだとか。
伊藤さんのお店「まずはじめのふるい器」、
どんなことになるか、どうぞおたのしみに!