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アトリエシムラの小さな工房

atelier shimura

アトリエシムラは、染織家で人間国宝の志村ふくみさんと、
ふくみさんの娘で同じく染織家である志村洋子さんの
藝術精神を継承するブランドです。

(おふたりについては、このページの最後にある
プロフィールを、ごらんください。)
その伝統を引き継いだ若いメンバーが、
京都・嵯峨野のアトリエを拠点に、
植物から色を受け取って糸を染め、
紬の着物やストール、小物などを製作しています。

▲アトリエシムラの着物。

蚕の繭から“いただいた”絹糸を植物染料によって染め、1本1本、手作業で織り上げています。

ほぼ日」では、現在販売中の
atelier shimuraのストール。」をはじめ、
洋子さんへのインタビュー
染色を担当する、洋子さんの息子である宏さんへの取材
また、糸井重里が、ふくみさんを訪ねたときのことなど、
さまざまなコンテンツでご紹介をしてきました。

ちいさなお店と

工房が引っ越してきます。

今回、「アトリエシムラの小さな工房」では、
10月からほぼ日で販売し、大好評をいただいている
「atelier shimuraのストール。」を、じっさいに手に取って
ごらんいただける(もちろん販売もいたします)ほか、
工房に受け継がれる古裂(こぎれ)を使った額装・御朱印帳など
ふだん、あまり見ることが出来ないアトリエシムラの世界を
たくさんならべます。

そして、工房からは、「機」(はた)や
「糸巻き車」が、ここ六本木ヒルズに運び込まれます。

糸巻き車は、アトリエシムラのスタッフによる
実演をごらんいただきます。

機は、実際に工房であらかじめ染めた絹糸を用意、
ほんの短い時間ではありますけれど、お客さまおひとりずつ、
無料の機織り体験をしていただこうと思います。

その日程は、15日(水)~18日(土)の4日間。

午前は11時~13時、午後は15時~17時の間に、
ひとり10~15分ずつの体験を予定しています。

先着順のご案内となり、
また、前のかたに続けて機を操作していただきますので、
織っていただいた裂(きれ)はお持ち帰りできませんが、
どうぞご了承ください。

※会場の混雑具合により、お待ち頂いたり、
体験いただける時間が多少変ったり、
お越しいただいたときに定員に達している可能性もございます。

この機織り体験、
東京では、成城にある
しむらのはなれ」などで行われている
有料のワークショップですが、
今回たくさんのお客さまに
草木で染めた色の美しさを少しでも感じて欲しい、
機織りを身近に感じて欲しい、という想いから実現しました。

▲「しむらのはなれ」での機織りワークショップの様子。

私(さゆり)もシムラさんの学校(アルスシムラ)で
機織りを学ばせていただいた経験があるのですが、
シムラさんの機織りの一番の特徴は、
なんといっても全ての色がキラキラと輝いて透明感があり、
とらえることのできない色の美しさがあることです。
その美しい色糸を一本一本選びながら
織りすすめていくと、じぶんが想像している以上に、
色と色の重なりが思いもしなかった
新しい世界を見せてくれることがあり、
その一瞬ごとが感動の連続でした。

そうして織り入れていくうちに、からだが機になじんで、
とんとん、からん、とんとん、からんと
音をたてる機がまるで自分の一部になったような
不思議な感覚にもなりました。

機織りは、まるで随分昔から自分の体の中に染み付いている
仕事のようにも思えました。

今回、短い時間での体験とはなりますが、
一瞬一瞬の色との出会いを、
たのしんでいただけたらとおもいます。

また、この15~18日の4日間は、
アトリエシムラのスタッフの方もいらっしゃいますので、
染織に興味のある方は、ぜひ色々と質問をしてみてくださいね。

こんな商品がならびます。

(写真:刑部信人)

アトリエシムラのストール ¥38,880~¥45,360(税込)

植物から“いただく”いのちの色を、
和服を着ないかたにも纏(まと)っていただきたい。

その想いがかたちになったのが、このストールです。

植物を煮出してつくった染料で、
オリジナルの糸を、ひと綛(かせ)ずつ、
手染め(先染め)し、織り上げました。

糸は、絹とオーガニックコットンの混紡の、
このストールのために考案されたもの。
シルクとコットンの両方の良さをあわせ持ち、
とても細く、しっとりとした光沢があって、
アトリエシムラの「色」が最大限に生きる糸です。

ほぼ日で販売したストールの他にも、
蓬(よもぎ)や梔子(くちなし)で染めた新色も登場します。

おたのしみに!

(写真:刑部信人)

小裂の額装 ¥32,400~37,800(税込)

「見るたびに新しい出会い・魅力を感じる、
この世界にひとつしかない『窓』。それが、小裂の額装です」
と、アトリエシムラの谷口さん。

工房に受け継がれる小裂(古い織物の、はぎれ)を
一点一点手作業でコラージュし、
オリジナルの額に納めました。

着物とはまたことなる、凝縮された世界、
力強さ、景色があり、
抽象画を思わせる佇まいなので、
和洋とわず、どんな空間にもなじみます。

「植物の色で織られた、
個性溢れる小裂たちが一つの額の中で出会いました。

染められた植物も、織られた時期も様々。

窓の中から広がる無限の世界に出逢ってください」
(谷口さん)

(写真:刑部信人)

小裂の御朱印帳 ¥16,200~¥21,600(税込)

植物の色で織られた、個性溢れる小裂が
表紙を飾る御朱印帳です。

工房に受け継がれる裂を、着物だけではなく
もっと身近に手元に置いて楽しんで頂けますように、
という気持ちから生まれました。

一点一点、手作業でコラージュし、製本しています。

御朱印を捺すノートの部分は、
使い終わっても差し替えられるリフィル式です。

志村ふくみ(しむらふくみ)さんについて

1924年滋賀県生まれ。

染織家、随筆家。

31歳のとき母の指導で植物染料と紬糸による織物を始める。

1968年京都市嵯峨野に工房を構える。

1986年紫綬褒章受章。

1990年重要無形文化財「紬織」保持者(人間国宝)に、
1993年文化功労者に認定。

2013年染織の世界を学ぶ芸術学院「アルスシムラ」を志村洋子、
志村昌司と共に設立。

2014年、第30回京都賞「思想・芸術部門」受賞。

2015年、文化勲章受章。

2016年、京都市名誉市民認定。

著書に『一色一生』(求龍堂 大佛次郎賞)、
『語りかける花』
(人文書院 日本エッセイスト・クラブ賞)、
石牟礼道子との対談と往復書簡『遺言』(筑摩書房)、
作品集に『篝火』(求龍堂)、
アルスシムラの教本『伝書 しむらのいろ』(求龍堂)、
洋子との共著『しむらのいろ』(求龍堂)、
近刊『つむぎ おり』(求龍堂)等がある。

志村洋子(しむらようこ)さんについて

1949年東京生まれ。

染織作家。

「藍建て」に強く心を引かれ、
30代から母、志村ふくみと同じ染織の世界に入る。

1989年に、宗教、芸術、教育など
文化の全体像を織物を通して総合的に学ぶ場として
「都機工房(つきこうぼう)」を創設。

志村ふくみ、志村昌司と共に、2013年に芸術学校「アルスシムラ岡崎校」、
2015年に「アルスシムラ嵯峨校」を開校。

作品集に
『志村洋子 染と織の意匠 オペラ』(求龍堂)
『色という奇跡』(新潮社)がある。