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山本千織
「chioben(チオベン)」という
不思議な名を、聞いたことはあるでしょうか?
料理家の山本千織さんが腕を振るう、
おべんとうスタジオの名称です。
2011年に代々木上原でスタートするや、
ロケ弁(テレビや雑誌などの取材時に、
スタッフにふるまわれるおべんとう)や
ケータリングといったかたちで、
chiobenに触れた人たちの口コミで噂が広まり、
瞬く間に熱烈なファンの数を増やしていきました。
人気の理由は、
仕出しのおべんとうの常識を覆す「見た目」と、
期待を裏切らない(どころかうわまわる!)「味」。
そしてそれを生み出しているのは、
美大出身で、研究熱心で、旅が大好き‥‥
という山本さんの個性にほかなりません。
▲山本千織さん。
アジアを中心に、世界各国の料理のエッセンスを
取り入れることで生まれた“味覚のミックス感”を、
山本さんの色彩感覚や造形的センスでもって
視覚的に表現する。そんなchiobenのおべんとうを、
「生活のたのしみ展」では2種類ご用意いたします。
気になる中身について、
山本さんが解説してくれました。
「今回ご提供させていただく2つのおべんとうには、
それぞれ『たのベン』と『ほぼベン』という名前を
付けてみました。
『たのベン』は、ごはんと小ぶりなおかずが
何種類も入っていて、
開けるとパッと楽しい一段のおべんとうです。
こちらは、chiobenのスタンダードな
おべんとうを意識しました。
おかずは、だいたい11種類くらい入れる予定です。
たこめしや春巻きといった、
『これぞchioben』という品目は入れつつ、
普段のおべんとうには入っていないおかずも
今回は入れてみたいと思っています。
▲ごはんは山椒たっぷりのたこめし。
▲ひとつひとつ丁寧に詰めていく山本さん。
ですので、chiobenファンの方には新鮮な驚きを、
はじめての方にはchiobenのエッセンスを、
それぞれ感じていただけると思います。
もうひとつの『ほぼベン』の方は、
のっけ弁当、いわゆる丼ものにしました。
最初は、ケータリングの時にもよく作る
牛肉のビビンバにしようかと思ったのですが、
今回の『生活のたのしみ展』には
和知さんや味坊さんのおべんとうも出ますので、
お肉ではなく、お魚にした方が
来られる方々の選択肢が増えるかなと判断し、
『白身魚のラープ』にしてみました。
ラープというのはタイ料理です。通常は挽肉を使うのですが、
今回は崩した白身魚で作ってみたいと思います。
水を入れてしっとりと白身魚を炒めて、
それにミントと赤タマネギを加え
最後にお米を煎ってすりつぶしたものを混ぜます。
▲ちりばめられたミントがラープにとてもよく合う。
水分が加わっているので、食感はねっとりしているのですが
酸味も香ばしさもある、というのがラープの特徴で
ごはんにかけると、どんどん進みますよ!
そんなラープに加えて、割り干し大根のきんぴらとお漬物を添えたものが
今回の『ほぼベン』になります」
おべんとうの内容を聞いているだけで、
お腹がへってきちゃいそう。
「たのベン」も「ほぼベン」も、早く食べたい!
「せっかく『たのしみ展』に参加させていただくので
わたしたちもたのしみながら、
いつもと違うおべんとうをつくりたいと思います。
『そう、これこれ!』という感じはありつつ、
『あれ、いつもちょっと違う!』というおたのしみもある。
そんな2つのおべんとうを、ぜひ味わってみてください!」
写真:石井宏明