mont-bell

モンベルの傘の店

モンベル。「あの、アウトドアのメーカーの?」
そうです、あのモンベルです。
アウトドア用品の総合ブランド
「mont-bell(モンベル)」から、
機能性の高い傘だけを集めたお店が
「生活のたのしみ展」に登場します。

モンベルにお声掛けしたのには、
こんな経緯があります。
じつは糸井重里が愛用しているのが、
モンベルの折りたたみ傘。
これを、ふだんの、雨の日の東京を歩くときに
使っているんです。
(たぶん、出張などにも持っていってると思います。)
そして『生活のたのしみ展』のミーティングで
「これ、いいんだよ、知ってる?」
と見せてくれたのが、
私たちがモンベルの傘を知ったきっかけでした。
そして、持ってみて驚いたんです。
あまりの軽さに!!

ぎりぎり限界まで持ち物を小さく、軽くする、
炎天下、日差しをさえぎるものがないところで熱中症を防ぐ、
暗闇のなかでの事故を防ぐ‥‥
街暮らしでは考えられない
過酷な環境下で活動する人たちの
安全を第一に考えることからアイテムをつくる。
そんなモンベルですから、
傘にしても、このおどろくほど軽いものや、
背中側を長くのばすことで背負ったリュックが濡れないもの、
紫外線を99.7%防いでくれる晴雨兼用のものなど、
たくさん高性能なものがあるのです。

これは「日常づかい」に提案したい!
そんな思いで、モンベルのみなさんと
「傘のお店」をつくることにしたのでした。

●mont-bell(モンベル)ってどんなブランド?

モンベルは1975年創業の、
日本の総合アウトドアブランドです。
「Light & Fast」(軽量と迅速)
「Function is Beauty」(機能美)をコンセプトに、
テント、バックパック、寝袋、登山靴、レインウェアなどの
各種アウトドア商品を製造・販売しています。

‥‥って、「生活」にも「たのしみ」にも
関係ないんじゃない? と思ったかた、
ぜひ読み進めてみてください。

創業者の辰野勇さんは、
もともと日本のトップクライマーのひとり。
まわりで働く人たちにもアウトドア好きが多く、
その視点で
「自分たちが納得できるものづくりを」
と生み出されるアイテムは
国内のみならず、海外でも高い評価を得ています。
(話をきかせていただいた広報部の渡辺さんも
年に100日以上、釣りに出かけているそうです)

社内にさまざまなアウトドアの
エキスパートがいるモンベルでは
新製品のアイデアも、どんどん生まれるそうです。
社員だれもが「こんなアイテムがほしい」と思ったものを
企画部に提案できる
「アイデアリクエストシート」という制度があり、
そのなかから重点的に開発するものを決め、
そのアイデアを受けて企画担当が自社のラボで
サンプルを何度も作り、テストして、製品化します。

‥‥って、さらりと書きましたが、
そんなふうに迅速かつかろやかに
(あっ、これはモンベルのコンセプトと一緒だ!)
ものづくりができる大きなブランドって、
そうそう、ないのです。
このしくみが非常にうまく機能していて、
年に数千ものアイデアが企画部に集まるとか。

「マーケティングはしていません。
流行ってるからとか、よそがやってるからとか、
ぼくらには関係ないんです。
そうじゃなくて自分たちがほしいものを作る。
自分たちが良さをわかるものしか作らないんです」
と、渡辺さん。

ううむ、この姿勢‥‥「ほぼ日」に似ています。

モンベルの強みのひとつが、
卓越した糸や生地の開発加工技術です。
この分野は、海外でも評価が高く、
じつは多くの賞を受賞してきています。
たとえばこの記事内でおふたりが着ているウェアは、
とても薄い素材を使っていて、
たたむと握りこぶし大になる、携帯性にすぐれたもの。
いまでは他社からも似た製品が出ていますが、
この生地はもともと
モンベルが開発したものです。

「モンベルは昔から、日本有数の繊維街である
大阪の船場(せんば)のそばに本社があるので、
繊維の専門家とのつながりが深いんです。
この環境があってこその技術力なので、
他社には真似できないと思います」

(ああ。‥‥かっこいい。)

また、なんでも自分たちで作る社風のモンベルは、
カタログも、雑誌も、ウェブサイトも、広告も、
ほぼ自分たちで作っています。

「誰かが間に入ると伝わりにくくなるでしょう?
ぼくらは自分たちがほしくてたまらない商品を
作っているんだから、直球で伝えるのが、
いちばんいいと思っているんです」

また、モンベルの商品は、
他のアウトドアメーカーのものと比べると、
値段が手頃なイメージがあります。
これも、自分たちでなんでもやるという
モンベルという会社のスタンスからきているもの。

「クオリティが低いんじゃないの? とか
誤解されることもあるんですが、まったく違うんです。
うちでは材料の輸入などもできるかぎり
自分たちでダイレクトにおこなっているから、
そこのコストをぐっと抑えられているんです」

そんなふうに材料調達から製造、販売まで
すみずみまで自分たちでおこなっているため、
モンベルは修理なども得意です。

「売りっぱなしは嫌なんです。
自分たちも消費者のひとりとして、やっぱり長く使いたい。
職人も工場も自分たちで持っているから、
こまかいカスタマーサポートができるんです」

そんな姿勢でつくられるプロダクトは、
本格的なクライマーやアウトドア愛好者たちのみならず、
「生活用品」や「ふだん着」としても愛用されています。

そのひとつが「傘」でした。
そもそも傘は、登山で使うアイテムではありませんでした。
その発想を逆転して、「生活用品」である傘を、
アウトドアの世界に持ち込んだのが、
モンベルなのでした。

●モンベルの傘って?

企画部の佐藤さんにうかがいました。

「傘は、1987年から販売をしています。
アウトドアメーカーが傘を作るなんて、
当時は非常にめずらしかったんですよ。
でも、雨の多い日本は、山で雨に遭遇する率も高い。
そのときレインウェアの上下を着て、蒸し暑いなか歩くより、
傘をさしたほうが快適ですよね。
そういった理由から
「山でも使ってください」という提案をしました。

ザイテルという工業用プラスチックと
軽量のウインドブレーカーの生地を使って作った
軽くて強い折りたたみ傘が、最初のモデルです」

その傘が、昨年2016年、
20年ぶりの大きなモデルチェンジをします。
もともと機能的なものでしたが、
いっそう軽くなり、
あらためて細部の仕様についての
ていねいな見直しがおこなわれています。
糸井重里が惚れ込んだのも、
この、新しいモデルの傘でした。

「いちばんの課題は、軽くすることでした。
そのため、生地は、ダウンジャケットなどで使用している
薄くても強度のあるナイロンを使うことにしました。
また、生地の撥水はポルカテックスという
50回洗濯しても落ちない加工のものなのですが、
ここも、ウェアで培った技術が役に立ちました。

傘の骨は、もともとすべてがグラスファイバーだったものを、
さらに軽く、そして、強くするために
カーボン・アルミ・スチールを
場所ごとに使い分ける仕様に変えました。

柔らかいものと硬いものの組み合わせなので
とうぜんバランスが難しいのですが、
社内のラボで、いろいろ曲げたり、切ったり、
幾度もの破壊試験をおこなって、この形になりました。

また、社内から、ほしいモデルのリクエストも多く、
商品のバリエーションもぐっと増えました」

今回、モンベルの傘のお店に並ぶのは
こんなラインナップです。

◎U.L.トレッキングアンブレラ
強度と軽さをともに追求した基本のモデル
「トレッキングアンブレラ」の軽量バージョン。
薄い生地を使い、骨長も短め。重さは128g。
糸井が愛用しているのもこのモデル。

◎トラベルアンブレラ
持ってみると「わっ!」と驚く超軽量モデル。
重量はなんと、86g。
Lサイズのたまごが70gであることを考えると
とにかく軽くてコンパクト。
折りたたみ傘のイメージを覆されます。
骨の本数はこちらのみ6本(ほかはすべて8本)。
バッグに入れておいても気になりません。

◎ロングテイル トレッキングアンブレラ
傘の後ろ側を長くしたシルエットの、
めずらしいかたちのモデルです。
背負ったバックパックが濡れにくいこと、
お子さんをおんぶするとき、
リュックを背負うときなどにおすすめです。

◎リフレック トレッキングアンブレラ
光を反射するリフレックインクをプリントし、
夜でも高い視認性を実現したモデル。
車のライトなどで反射するため、
お子さん用の傘としてもおすすめ。
災害用バッグに入れる傘にも。

◎カワモッチアンブレラ
ワイルドな迷彩柄のこの傘は、
かっこよさを追求したことから生まれたのではなく、
バードウォッチングや野外観察のときに、
鳥や動物たちを驚かさないように、
カモフラージュするためにつくられたもの。
バードウォッチングのときは晴天でも使うそうです。

◎サンブロックアンブレラ
UVカット率99.7%の、晴雨兼用の軽量傘。
日差しだけで体力を奪われる炎天下のトレッキング、
釣り、ゴルフなどの熱中症対策に開発されたもの。
もちろん、紫外線から肌を守りたい女性のかたにも。
遮熱性能が非常に高いため、
この傘の下にいると、炎天下でも涼しいそうです。

*すべて、折りたたみタイプの携帯傘で、
いちばん軽いものは86g。
いちばん重いものでも178g。
吊り下げ用の輪っかが傘のてっぺんについていて、
ぶらさげたときにも邪魔になることなく
水がきれやすい構造になっています。

*すべての傘は修理可能なので、
万が一、生地が破れたり、骨が折れた際も
長く使っていただくことができます。

*リフレック トレッキングアンブレラと
サンブロックアンブレラは、
「ポルカテックス」ではありません。

●アウトドアブランドが社会のためにできること。

モンベルという会社の考えかたが
伝わってくる話を教えてもらいました。

「モンベルは物づくりだけでなく、色々なことを行っています。
防災や農林業関係もいろいろやりますし、
自治体と組んで、エコツアーのルートの整備もしています。
標識を作ることもありますし、
英語や中国語のパンフレットなども作ります。
海外に行ったときにそういうものがあると
その地域の自然環境に触れて、
お互い貴重な自然を理解出来、
大切にすることに繋がると思うんです。

こういったことは、さまざまな自治体と
一緒にやるのですが、
町長、理事とか、観光課の人とか、
さまざまな組織の長の人とか、
ぼくらが関わる人にはアウトドア好きが多いから、
あうんの呼吸でやりやすいんですよ。

また、自治体とつながっていくと、
環境に良くない案がでてきたときに、
「それはやめてね」とか言うこともできる。
こういうことって、めんどうで、時間もかかるけど、
ぼくらの貴重な自然の財産が
失われるのは嫌じゃないですか。
日本って実は、素晴らしい自然の宝庫で、
世界のアウトドア好きがいま、すごく注目してるんですよ。

そんなふうに、ぼくらの会社は
アウトドアが社会のためにできることを、
ジャンル問わず、ひとつひとつ
やっていこうとしているんです」

モンベルの渡辺さん、どうもありがとうございました。
「生活のたのしみ展」のなかでは、
「大手の参加」というふうに見えますけれど、
こんなふうに、根っこの部分で
「ほぼ日」とつながっているということが
おわかりいただけたら、とてもうれしいです。