pojď k nám[ほぼ日]

チェコでみつけた はこ・びん・カン・など。

ほぼ日が、ちいさな
「蚤(のみ)の市」のブースを作ります。
並ぶのは中欧・チェコで集めてきた
はこ、びん、カンなどの古道具300点。
どんなふうに使うか考えるのもたのしい、
魅力的なたたずまいのものが揃います。
ひとつひとつ手にとって、
宝さがしのように楽しんでください。
当日ブースでは、実際に買い付けにでかけた
ほぼ日の武井が、各アイテムの説明もしますので、
お気軽にお声がけくださいね。

「チェコでみつけた~」は、どんなお店?

「生活のたのしみ展」には、
2つ、ほぼ日のブースがあります。
1つがほぼ日のオリジナルアイテムを扱うお店
「ほぼ日Supermarché」、
もうひとつがこちらの
「チェコでみつけたはこ・びん・カン・など。」
というお店です。

このお店の発案は、糸井重里。
「それぞれの作家さんやブランドなどの
お店のほかに、生活のたのしみ展のなかに
蚤の市のような場所があったら、楽しいんじゃない?」
というアイデアがポンと生まれて、
みんなで「わぁ、いい!」と盛り上がりました。
ばらつきのあるものがずらりと並んで、
みんなが自分にとっての宝物と出会える場所。
そんなブースが作れたらと思っています。

そんなわけで、個人的に古道具が大好きで、
最近ヨーロッパ旅行にいくときには必ず
蚤の市に出かけているほぼ日乗組員の武井が、
おつかい係のようなかたちで、
チェコに買い付けにいくことになりました。

パリでも、ロンドンでも、
ウィーンでも、ローマでもなく、
チェコのプラハを選んだのには、理由があります。
まず、頼りになる友人のshinoさんが住んでいること。
shinoさんは今回、生活のたのしみ展で
ベレー帽のお店をひらいてくださる
チョーカー作家のかた。
チェコの永住権をもち、首都・プラハ暮らしは
25年になります。

おつかい係の武井は、10数年前に
shinoさんのところに遊びに行き、
食卓で使ったフォークやスプーンの使いやすさ、
うつくしさにがく然としたといいます。
きくと、それはヴィンテージのカトラリー。

「きっとパリで買ったらもっと高いと思うのだけれど、
プラハは、まだまだ、こういういいものが
安く手に入るのよ。もちろん運がいるけれど」

と聞き、次に来るときにはぜったい買うぞと
心に決めて帰りました。
そして実際、次のプラハ旅行では
忙しいshinoさんをかりだして
プラハ中の古道具屋を案内してもらい、
ついに理想のフォークを見つけたのだそう。

そうなのです、チェコのプラハは、
「世界的に有名な観光地」という顔のほかに、
まだまだ知られていない「古道具の街」としての
魅力があるのでした。

ざっくり「ヨーロッパは」と言うのは
ちょっとちがうのかもしれませんが、
彼の地のひとびとの考え方として、
道具類を簡単に使い捨てにすることを
あまりよしとしません。
じぶんは要らなくても、誰かの役に立つのであれば
それはまだ生きた道具。
壊れたり欠けたりしていても
もうひとつ欠けたり壊れたりしているものと組み合わせれば
まだまだ使えるかもしれない。
もちろんうつくしい骨董品を売る店もありますが、
多くの「古道具屋」には、そんな半分壊れたような品物が
ぎっしりと並んでいます。
使いかけの古いフロッピーディスクとか、
ちぎれたコンセントなんていうものもあるし、
でもそんななかに
「自分には価値のあるもの」が、
眠っているかもしれない。
それが古道具の魅力です。

在プラハ25年のshinoさんは、
そんな「もののありかた」を愛している人。
自身でも、まめにお店や蚤の市に顔を出して
ガラスの器や生活道具でいいものを見つけたら、
買い集め、じっさいに使ったりもしています。
彼女を頼れば、今回のミッションが達成できるかも!
そう考えた武井は、
パリ、ロンドン、ウィーン──、
ではなく、あえてプラハを選んだのでした。
そしてたぶん、そういう街の古道具にくらべて、
チェコのものって、まだまだ日本にやってきていません。
だったら、ちょっとめずらしくて面白い店がつくれるかも。

ということで、3日間しか使えない、弾丸での買い付けに。
急な相談でしたがshinoさんが力を貸してくれることに。
経由便で15時間かけてたどり着いたあと、
3日間、shinoさんの案内で、
ひたすらに古道具を見てまわりました。 
観光名所が目白押しのプラハですが、
今回そちらには目もくれず、街を回りました。
プラハ城もカレル橋も見ていないし、
ビアパブでビールを飲むことも叶わず、
ふたりで手を真っ黒にして探しました。

このお店のテーマは糸井重里提案の
「はこ・びん・カン・など」。
かさばるので一般的にはあまり旅先で買うことがない
箱、瓶、缶を中心に、
むかしから使われてきた生活道具や
「ちょっとかわいいもの」をえらび、
300点ほど持ち帰ってきました。
それぞれ個性があって、
どう使おうか考えるのも、たのしいです。
ぜひ、あなたにとっての大事なひとつを
みつけにきてください。

買い付けの旅のようす、紹介します。

今回の買い付けは、
ふたりの頼もしいチェコのおじさんたちも
手伝ってくださいました。

ひとりめが、shinoさんの大事な友人である
ペトル・フーザ(Petr HŮZA)さん。
魅力的な磁器のカップ&ソーサーやマグ、
ブローチなどのアクセサリーを作られている
チェコ在住のアーティストです。
ペトルさんのつくるアートピースは、
プラハ国立美術工芸博物館をはじめ、
世界各地のミュージアムのコレクションになっています。
過去に「ほぼ日のくびまき」で
磁器のくびまきどめを作っていただいこともあります。

もうひとりが、ペトル・チルカ(Petr CILKA)さん。
共産圏だった時代からずっと
チェコのアーティストの作品の
輸出の仕事をされてきた、
いわばその道のプロフェッショナル。

1日目は地下鉄とバスをのりついで、
プラハから車で1時間ほどの
Hradec Králové(フラデツ・クラーロヴェー)という
地方都市をshinoさんとふたりで訪れました。
ここは、フーザさんが住んでいる街。
たくさんの店を回ったのですが、
なんとフーザさん、
はりきって前もってすべての店をめぐって、
調査しておいてくれたので、
買い付けが非常にスムーズにすすみました。
(ちなみに、フーザさん自身も一緒にまわりながら、
いろいろと自分用の古道具を買っていました。)

この日は栓抜き、ビールびん、ホーローもの、
かわいい薬瓶、色鉛筆や待ち針が入ったままの缶や箱、
グラス類、ベークライトの容器などを買いました。

チルカさんは2日目に、
プラハ郊外と市内の店を
いっしょに1日車でまわってくださいました。

まだ暗いうちに起きてBuštěhrad(ブシュチェフラト)という
プラハ郊外のアンティークマーケットへ。
マイナス気温の寒いなかでしたが、大にぎわい。
地面に並べられ、凍りついているものの中から
びん、かん、箱のほかに、ビールの看板とか、カトラリー、
アルパカのティーポット、ゴブレット、お皿、
チェコにしかないメジャーカップなどをみつけました。

午後は、shinoさんのお気に入りの店を中心に
プラハ市内のお店をしらみつぶしにまわりました。

「いい古物をみつけるのは縁や運が要る気がする。
限られた時間の中で欲しいものをみつけるためには
いかに効率よくたくさんの店を回るかだと思うの。
でも最近はプラハからも
どんどんそういう店がなくなっていて‥‥。
個人的にはそれが今回の一番のネックだから、
とにかく、時間の許す限り、回りましょう!」

チェコの古道具のお店はたいてい、ジャンルを限らず、
ありとあらゆるものが置かれているので
なかには「これ、どう使うんだろう?」というものもあります。
そういうときは、ふたりがチェコ語で
お店の人に聞いてくださり、教えてくれました。

この日はベークライトやアルミやホーローの古道具、
パイ生地切りや粉用シャベルなどの調理用具、
陶器のポットやコーヒーミル、
アルパカのお皿に、アルミの食材コンテナ、
量り売りのビールを買いに行くための容器、
アイスクリームを入れたらしい魔法瓶などをみつけました。

3日目はプラハで毎週末におこなわれている
「U Elektry(ウ・エレクトリ)」という青空市へ。
ここは古道具だけでなく、
新品の日用品や食料も買えるたのしい場所。
ですが、この朝は零下10度。寒かった‥‥。
肌が痛くて、鼻水がとまらない。
買い物をするため手袋をはずして
冷えきったビンやカン、カトラリーを持つと
その冷気が伝わって、
まったく手がうごかなくなります。
ホットチョコレートで暖をとりつつ、市をめぐりました。
ですが、こちらでもすてきなものがたくさん。
かわいいヴィンテージのボタンや、
マッチのラベルのデッドストック、
ホテルやビールのシール、
あと、お店に置いたらかわいくなりそうな、
古いトランクなどもみつけました。

そして午後は、ばたばたと大量の商品のリストを作り、
ひとつずつ梱包をして、発送の手続き。
‥‥あっという間の、3日間。
しかもこの間に、shinoさんの
ベレー帽の取材や撮影もしてきたので、
ぜひそちらも読んでくださいね。

さて! 日本に戻ってから届いたものの封をあけると、
チェコの雰囲気がたっぷりつまった
かわいいものばかりで、あらためて嬉しくなりました。
こんなお店、やっぱり、ほかに、ないんじゃない?

今回ブースにはその古道具たちを、たっぷり並べます。
並べる前にできるだけきれいにしますが、
とにかくあちこちから集めてきたものなので、
いくらか汚れはあると思います(スミマセン!)。
そして、「生活道具」ですけれど、あくまでも美術品、雑貨。
インテリアに、あるいは花瓶や物入れとしてなど、
使い方を工夫してくださいね。
チェコの蚤の市での宝探し感を
少しでも味わっていただけたらうれしいです。

こちらのお店には、買いつけに行ってきた
ほぼ日の武井が常駐しています。
「これ、なんだろう?」と思ったら、
どうぞ声をおかけください。
また、隣は買い付けを手伝ってくれた
shinoさんのベレーのお店。
もしかしたらshinoさんからも、
チェコや古道具の話を聞けるかもしれません。

並ぶものをすこしだけご紹介します。



はこ・びん・カンは、もちろんたっぷり。
どれもこれも、すごくかわいいです。

今回たくさん買ってきたのが「洋白」の古道具。
「洋白」とは銅、ニッケル、亜鉛の合金で、
古いものは銀メッキがほどこされています。
これをチェコでは「アルパカ」と呼びます。
やわらかく光る、すてきなたたずまい。
カトラリーは磨くとピカピカになります。

チェコはもともとガラスで有名ですが、
ふつうの人たちが使ってきたような
庶民的な古いもののなかにも、
すごくすてきなものがあります。
そういったものもいろいろと、買ってきました。

おもしろいものでは、ビアパブで使われていた
陶器のコースターや、共和国時代のビールびんなど。

こちらはマッチのラベルのデッドストック!
ひとつひとつ、近づいて見てみてほしいです。

‥‥と、上で紹介しているのはほんの一部。
遠いチェコから海を越えてやってきた300点、
どう使われていたか想いをはせるだけでも
おもしろいので、ぜひ遊びにいらしてくださいね。

なお、タイトルにつけた
「pojď k nám (ポイチュ ク ナーム)」は
チェコ語で「みんな、おいでよ!」というような意味です。